今日の一句 #310

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    体重計踏絵のように置いてある  坂井マサコ

     

     

    くくっ。

    説明は要りませんね。

    けれど下五がさりげなくユニークです。

    踏絵のように踏む、じゃなくて

    「置いてある」。

    一体誰なんでしょうね、

    こんな目に付くとこに置いたのは。

     

    ダイエットの本気を迫る体重計。

    踏むか、踏まぬか。

    しかし忘年会はまだまだ続く・・

     


    (「柳都」2017年12月号/ 柳都川柳社)


    今日の一句 #309

    0

       

      流れ星だろうかいいえ流れ弾  岩間啓子

       

       

      不意の流れ星を

      「いいえ流れ弾」。

      そう言い放たれた瞬間

      夜空はカオスになった。

       

      流れ弾は

      どこから飛んでくるのか。

      いくつも、いくつも

      それは美しくまばゆい光を放って

      どうか誰も

      作者も

      あなたも

      わたしも

      傷つけることがありませんように。

       


      (句集「ロングラン」 岩間啓子/2017年 あざみエージェント)

       


      今日の一句 #308

      0

         

        たまーにはでかい息子と向き合って  大橋啓子

         

         

        同居か、もう家を出た息子か。

        なにがそんなに忙しいんだか

        顔を合わせたって

        ろくに話もしなくなって久しい。

        図体はとうに見上げるほどだし

        今さら親が何か言って聞かせるトシでもない。

        「ま、元気ならいいか。

         けどね。

         たまーにはちゃんと向き合って

         話したいこと、言っておきたいこともあるのよ」

         

        そんなつぶやきのような1句が

        ああ、母だなあと思う。

        「たまーには」「でかい」のユーモラスな言葉選びが巧み。

        子育てを振り返ってのいろんな感慨を含んで、

        ほんにねえ、とつい共感の吐息がこぼれる。


        (「川柳びわこ」2017年11月号  びわこ番傘川柳会)

         

        ******************************************

        お知らせです♪

        来年1月に以下の3教室で川柳の1日講座を開催します。

        初心の方もぜひお気軽にご参加ください。

         

        ◆NHKカルチャー西宮ガーデンズ教室

         「キラッと川柳 〜こころを詠む」

         2018年1月16日(火)10:30〜12:30

           https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1138606.html

         

        ◆サンケイリビングカルチャー神戸教室

         「仕事帰りにスカッと川柳 〜こころを解き放とう」

         2018年1月9日(火)18:30〜20:30

         https://living-cul.com/course/a011000000vUqOWAA0/

         

        ◆サンケイリビングカルチャー梅田教室

         「仕事帰りにスカッと川柳 〜こころを解き放とう」

         2018年1月17日(水)18:30〜20:30

         https://living-cul.com/course/a011000000vUL0NAAW/

         


        今日の一句 #307

        0

           

          ガムシャラをひとまず二錠のんでおく  岩田多佳子

           

           

          ガムシャラ。

          これ、強烈に効くらしい。

          頭がカッと冴えて、量によっては

          一日二日徹夜しても平気だそうだ。

          ゆえに、サプリみたいに

          軽い気分で常用するのは要注意。

          過剰摂取は、心身に疲弊をきたすという説もある。

           

          え? 

          だからワタシはガムシャラには手を出さないんだって?

          いやいや、あなたが今手にしてるドリンク剤にだって

          しっかりガムシャラ成分入っていますよ。

           


          (句集「ステンレスの木」 岩田多佳子/2016年 あざみエージェント)

           


          今日の一句 #306

          0

             

            担任は日に日に蟹のにおい増す  飯島章友

             

             

            先生でなく「担任」。

            匂いでも臭いでもなく「におい」。

            淡々と無機的な書き方なのに

            なんとも人間くさくスリリングな句だ。

             

            主人公になってみる。

            ある日ふっと担任のにおいに気付いた。

            「ん、蟹!?」

            以来、不意に担任の存在が気になり出す。

            すれ違うたびひゅっと嗅いだり

            ときには用もないのに近づいてったり。

            そのたびにこそっとほくそ笑んだり

            やるせなくなったり。

             

            蟹のにおいは日に日に増し

            担任はますます「ヤベェ」。

            しかしこの事実に気付いているのは

            きっと自分一人だという

            ひそかな愉しみと優越感もあったりするのだろう。

             

            出典は今月新創刊の「川柳スパイラル」。

            編集発行人の小池正博氏は巻頭言に

            「これからの川柳が渦巻き状に、螺旋状に

             新たな展開を見せてゆけばいいなと思っている。」

             

            その展開に注目したい。 


            (「川柳スパイラル」編集発行人 小池正博 2017年11月)


            今日の一句 #305

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              この芋は猫の額の大地の子  鈴木紀子

               

               

              猫の額の大地とは愉快。

              狭いながらも手をかけた畑が見えてくる。

              通常、猫の額といった慣用句は

              句の新鮮味をそこないがちだけれど

              本作ではさらりとユーモアに転じられている。

               

              「大地の子」もいいなあ。

              掘りたての芋は、まこと健やかに

              土の匂いをぷんぷんさせている。

               

              ささやかでとっても豊かで、

              この句もまた秋の収穫。

               


              (句集「きずな」 鈴木紀子/2017年 私家版)

               


              今日の一句 #304

              0

                 

                ふくらんだ旅愁の中に注ぐワイン  山崎夫美子

                 

                 

                大人の恋、大人の旅だ。

                 

                二人でめぐる美しい史跡や街角。

                日を追うごとに高まり、深まっていく思い。

                 

                「ふくらんだ旅愁」の表現になんとも情感がある。

                旅は夢のように楽しくて、

                夢のように刹那であって。

                 

                旅もそろそろ終わりに近づき、

                クライマックスを迎えた一夜。

                静かに注がれる極上のワインは、きっと赤。

                 

                まるで映画のような一句にうっとりしながら

                この句がよぎるたび旅ごころを誘われる。

                 


                (三省堂 新現代川柳必携/田口麦彦編 2014年 三省堂)


                今日の一句 #303

                0

                   

                  無党派と呼ばれる顔で持つ叛旗  金子すすむ

                   

                   

                  結局世の中は1票から変えていくしかない。

                  そんな矜持の叛旗が風にひるがえる。

                   

                  さてきたる日曜はいよいよ衆議院選挙。

                  2極対決、はたまた3極対決なのか。

                  争点によって対決構図の見え方も変わってくる。

                  ニュースは接戦区の状況を伝え、

                  やはり鍵を握るのは無党派層のよう。

                   

                   わが脚を撃つ一票となるのかも   井比砂山花

                   一票を書く日は義理へ目をつむり  中村よし子

                   

                  気になるのは台風状況だけれど、

                  あ、こういう手もありますね。

                   

                   期日前投票をしてもう自由  天根夢草

                   


                  (「三省堂 現代川柳必携」 田口麦彦 編  /三省堂 2001年)


                  今日の一句 #302

                  0

                     

                    失ったこころ後ろの正面に  藤本花枝

                     

                     

                    ♪ 後ろの正面だあれ〜

                     

                    ぱっと振り向けば失ったこころ。

                    作者はまさかと驚いたのか、

                    ほっとしたのか。

                     

                    「ハイ、入れ替わりましょう」

                     

                    エンドレスに続く、かごめかごめ。

                    無邪気な情景が

                    なんともコワイ1句である。

                     


                    (「川柳びわこ」2017年10月号 びわこ番傘川柳会)

                     


                    今日の一句 #301

                    0

                       

                      持ち上げてみると一番軽い人  月波与生

                       

                       

                      ぷっ。

                      吹き出してのち、時節柄でしょうか。

                      政治家さんの、あの顔この顔が浮かびます。

                       

                      発言や存在感は重量級、超重量級でも

                      持ち上げてみると・・?

                       

                      とまあ、まったく笑いごとでも他人ごとでもない

                      このたびの選挙ですが、

                      ますます耳目を集めているのは確か。

                      「劇場」でまだまだ何が起きるのか。

                      その劇場と地続きにある、国民の明日。

                       


                      (「柳都」826号/2017年10月 柳都川柳社)

                       


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