今日の一句 #346

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    アンパンマンいつもお空を飛んで来る  江島谷勝弘

     

     

    そう、通常は。

    けれど、ときに山道をわしわし登って

    助けに来てくれることもある。

     

    昨日、山口県で行方不明になっていた2歳の男の子が

    無事に発見された。

    もうほんとに、ほーっと胸をなでおろしましたね。

    ご承知のとおり、発見したのは

    大分から駆け付けた78歳のボランティアの男性。

    男の子の家族には

    「私が抱きしめて直にお渡しします」と約束し、有言実行。

    さらに発見後のインタビューの発言も経歴も

    いちいちクールすぎて、まさにヒーロー。

     

    で、ふと思い出したのが、

    アンパンマンならぬジブリ映画「紅の豚」の

    こんなキャッチフレーズです。

     

    「カッコイイとは、こういうことさ。」


    (『三省堂 新 現代川柳必携』田口麦彦編/三省堂)

     

    **************************

     

    お知らせです♪

     

    この9月からリビングカルチャー倶楽部・神戸教室にて

    新しい川柳講座を開講します。

     

    「レッツ川柳 〜こころを詠む575」

    https://living-cul.com/course/a01100000110pAyAAI/

     

    川柳の基本のきから始める新講座です。

    川柳はまったく初めてという方、

    初めてじゃないけどもう一度初心にかえってという方、

    ぜひご一緒に、レッツ川柳♪

     


    今日の一句 #345

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      昭和史が見えなくなった竹輪の輪  高橋兎さ子

       

       

      今年6月に開催された「現代川柳」第8回川柳大会の入選句。

      題は「輪」。

       

      ゆっくりと平成のカウントダウンが始まる中で

      平成最後の8月6日、9日、そして15日を迎える。

       

      掲句、「竹輪の輪」に感じ入った。

      昭和を振り返るに格好の竹輪の輪。

      その小さな輪の向こうに

      かろうじて見えていた昭和史が

      また少し、また少しと遠ざかってゆく。

      ちゃんと目をこらさなければ。

      しっかりと竹輪を握りなおして。

       


      (「現代川柳」第62号/現代川柳研究会 2018年7月)

       


      今日の一句 #344

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        川柳です気にしないでねひとり言  菅原千瑛

         

         

        あ、この手があったか。

         

        ついぽろりとひとりごちてしまった本音や悪態を聞きつけられ

        「え、なになに」

        と問いただされることがあっても

        この一句で返せばいいのだ。

         

        もっとも作者はほんとに川柳を

        つぶやいていたのかも。

        実際、周囲にはこの猛暑にあっても

        常に頭の中が川柳でいっぱいという

        熱い先輩諸氏が何人もいらっしゃる。

         

        さて、今日の一句は

        今日届いたばかりの「柳都」最新号から引いた。

        新潟発の老舗柳誌は今年創刊70年。

         


        (「柳都」836号/柳都川柳社 2018年8月)


        今日の一句 #343

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          風鈴はわが悪筆を下げて鳴り   奥 昭二

           

           

          暑い。

          言ってもせんないことですが、暑い。

          そこで涼しげな風鈴の音など

          お届けするとします。

           

          短冊に書かれているのは

          やはりご自慢の1句でしょうか。

          悪筆っぷりもまた味わい。

          眺めてよし、

          聴いてよしの風鈴に

          ふるりといい風。

           


          (三省堂現代川柳必携  

           田口麦彦編/三省堂)


          今日の一句 #342

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            ひとりいるようなふたりになっている  政二

             

             

            ふたり並んでどこか遠くをながめている。

            沖とか、夕空とか。

             

            あるいはさしむかっているのかも。

            カフェで、観覧車で。

             

            それとも背中合わせ?

             

            はたして「ふたり」は年齢も性別も関係も不詳。

            なので読み手が思い描く絵は

            それぞれまったく違っているはず。

            なのに私の中に浮かぶ絵もやっぱり、

            ああ、と吐息をつかせる。

             

             青いバスときどき通る青いバス

             花引くと小さな虫がついてくる

             君の全部僕の全部と橋の上

             夕焼けをひっぱっている鳥の数

             夜はよろこんで窓から出ていった

             

            政二調とでもいおうか。

            たっぷりの余白がたゆたうような作品を

            読むというより、感じて味わう。

             

            「川柳は自由である。とことん自由である」

            と語る作者。

            出典は、新書版の新刊句集。

            33年の句歴から選り抜きの句が収載され、

            気軽に深ーく魅力が味わえます。

             


            (川柳作家ベストコレクション

            永政二 〜犬小屋の中に入ってゆく鎖」

             新葉館出版 2018年)


            今日の一句 #341

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              沈思する猫の眉間にある悲傷   佐藤 雪

               

               

              このたびの豪雨により被災された皆様に

              謹んでお見舞い申しあげます。

               

              今日の1句は23年前、

              阪神淡路大震災の直後に編まれた川柳集より引く。

              被災した川柳人、また安否を気遣う全国の仲間が

              「今」の思いを川柳に託した。

              作者は東京在住。

              また、秋田からはこんな句も寄せられている。

               

               嘘になる気がして書けぬ見舞状  石垣 健

               

              思いと言葉と戸惑いのなかで。

               


              (「川柳集 悲苦を超えて 阪神淡路大震災」

               時実新子 選・曽我碌郎 編 1995年)


              今日の一句 #340

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                九条を鑑定団に出してみる   速川美竹

                 

                 

                確かなお墨付きをいただくべく、

                鑑定団に出された「お宝」。

                さあ「オープン・ザ・プライス!」

                ・・作者とともに息を詰めて

                電光掲示板を見つめる。

                もちろんプライスレスのはずだけれど、

                ちょっと待って。

                そもそもどなたが鑑定しているのだろう。

                 


                (「川柳葦群」第46号 2018年7月)


                今日の一句 #339

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                  アゲハの子新幹線のかたちして  坂東乃理子

                   

                   

                  幼虫や青虫でなく「アゲハの子」。

                  という言い方に対象への仲間目線が感じられ、

                  思わず微笑を誘われる。

                   

                   キミ、わたしの好きな新幹線にそっくりだね。

                   ところでキミから見ると

                   わたしってなにと似てるのかな?

                   

                  なんて心のセリフまで聞こえてきそう。

                  いい大人がこんな句を書けるのも

                  瑞々しい詩心の持ち主ゆえ。

                   

                   努力した鈴虫だけが鈴の音

                   人間はわたくしだけか立葵

                   水色で空塗る 空は水の色

                   どの道もすべて生家に続きおり

                   カマキリがゆれて小さな風作る

                   タイムカプセル土に食われてしまったか

                   ヤモリのために豆電球をつけておく

                   

                  このほど坂東乃理子の第2句集が上梓された。

                  初句集『おもちゃ箱』から32年。

                  いやまったくのサプライズ発行で

                  一ファンとして単純にうれしい。

                  今回は自身が撮った「自宅近くの身近な風景」写真も

                  ページを彩り、その写真の数々がまた

                  フシギの乃理子ワールドを深めている。

                   

                  句集のタイトルは『人魚の絵』。

                  ともあれファンのみなさん、

                  水しぶきをあげて乃理子さんカムバック。


                  (坂東乃理子 川柳集『人魚の絵』/私家版 2018年)


                  今日の一句  #338

                  0

                     

                    泡立たぬビールも僕も沈黙す  門前喜康

                     

                     

                    今週18日早朝、大阪北部を震源とした地震。

                    翌19日はワールドカップで日本の勝利。

                    それぞれの関連ニュースが入れ替わりながら

                    連日ニュースショーのトップを飾る。

                    キャスターの表情も目まぐるしい。

                     

                    もやもやと落ち着かない気分で、

                    ふと句集『揺振摺(ゆりふりすり)』を手に取る。

                    泡立たぬビールのグラスを私も見つめる。

                     

                    作者は元テレビ局の報道記者。

                    地元で起きた阪神淡路大震災がきっかけで

                    川柳を始めたという。

                     

                     批判する己の中にワイドショー

                     人権が人権を喰うカレー鍋

                     

                    刃を自らにも向けた社会吟を詠む一方で

                    こんなリリカルな句も。

                     

                     軋む音 楽譜に落とし弾いてみる

                     読みかけのページに挟む葉を探す


                    (句集『揺振摺 VIVRE 生きる 1995-2015』

                            門前喜康/左右社 2015年)


                    今日の一句 #337

                    0

                       

                      見送りの父のズボンが短すぎ  岩城祐子

                       

                       

                      米朝首脳会談も終わり

                      いよいよワールドカップ開幕。

                      そして3日後は父の日・・でしたね。

                       

                      ただでさえ母の日に比べると

                      影が薄めな父の日。

                      するとネットニュースにこんな見出しが。

                       

                       百貨店、「セルフ父の日」商戦本格化

                       

                      なんでも

                      「父の日ギフトをお父さん自身が自分へのご褒美として買う

                       “セルフ父の日”現象がじわり拡大」

                      しているらしいのだ。

                      百貨店戦略とはいえ、セルフとは

                      ちょっと微笑ましいようなせつないような。

                       

                      さて父といえば、つとこんな一句がよぎる。

                      もう15年も前の川柳大会で聞いた特選句。

                      思い返すたび、おかしくて

                      そして鼻のつけ根につんとくる。

                      題は「送る」だったけれど

                      私の中では「父」の名句。

                       


                      (「月刊川柳大学」92号/川柳大学 2003年8月)


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