今日の一句 #337

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    見送りの父のズボンが短すぎ  岩城祐子

     

     

    米朝首脳会談も終わり

    いよいよワールドカップ開幕。

    そして3日後は父の日・・でしたね。

     

    ただでさえ母の日に比べると

    影が薄めな父の日。

    するとネットニュースにこんな見出しが。

     

     百貨店、「セルフ父の日」商戦本格化

     

    なんでも

    「父の日ギフトをお父さん自身が自分へのご褒美として買う

     “セルフ父の日”現象がじわり拡大」

    しているらしいのだ。

    百貨店戦略とはいえ、セルフとは

    ちょっと微笑ましいようなせつないような。

     

    さて父といえば、つとこんな一句がよぎる。

    もう15年も前の川柳大会で聞いた特選句。

    思い返すたび、おかしくて

    そして鼻のつけ根につんとくる。

    題は「送る」だったけれど

    私の中では「父」の名句。

     


    (「月刊川柳大学」92号/川柳大学 2003年8月)


    今日の一句 #336

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      うっかりと観音様にチェッと言う  谷口 文

       

       

      言っちゃったんですね。

      ついね。

      え? バチがあたったらどうしようって?

      だーいじょうぶ、ダイジョブ。

      観音様なのですから。

      けれど、なんでまた「チェッ」なんて。

       

      ひょっとして誰やらのSNSの

      「国宝級!」なんてひと言に誘われて観にきたけど

      期待ほどじゃなかった、とか。

      それともただむしゃくしゃの八つ当たりですか。

       

      しかし、今一度

      観音様の微笑をよくよくご覧あそばせ。

      ほらね、ほら、

      すーっと肩の力が抜けてきて、

      そろそろ、いい潮目になりそうですよ。

       


      (「川柳びわこ」第660号/びわこ番傘川柳会 2018年)


      今日の一句 #335

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        とりあえずポン酢 チャンスは何度でも  笹田かなえ

         

         

        とりあえずポン酢。

        これがたとえば「とりあえずビール」なんかだと

        いたって凡になってしまうし、作者にとって

        この「ポン酢」は動かないものだろう。

         

        とりあえずポン酢。

        マヨでも醤油でもなくポン酢。

         

        うん、確かに・・な気がしてくる。

        そのリアリティと説得力をもって

        「チャンスは何度でも」と続けられると

        うん、確かに・・

        とこれまた頷かされて

        なんだか無防備に励まされる思いだ。

         


        (川柳作家ベストセレクション「笹田かなえ 六条御息所的今夜」

         /新葉館出版 2018年)


        今日の一句 #334

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          ウォークマン耳に田植えの風の中  佐藤岳俊

           

           

          ああ、いい風。

          天然素材100%の緑の風。

          風は匂いまで濃い緑だ。

          ウォークマンから流れているのは

          どんな曲だろう。

           

          本作、つい先日、

          作者ご自身からいただいたハガキに添えられた一句。

          ブログでご紹介するにあたり

          初出を電話でお伺いしたところ

          なんと「新作」だった!

          「これ今のことよ。

          今のこと、そのまんま詠んだンだ」

           

          登場のウォークマンは

          「3代目、いや4代目になるかな」

          田植えするときはいつもこんな感じだ、

          と大らかに笑う。

          田植えは大方は機械だが

          機械の入れない狭い箇所は手植えだそうだ。

          と聞いて、風はますます緑を増す。

           

          岩手在住の反骨の川柳人は

          米を作り、川柳を作り、

          川柳誌「川柳人」を主宰する。

           


          今日の一句 #333

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            その節はどうもナースへ手術痕  千葉世想児

             

             

            術後の経過観察で久しぶりに病院へ。

            顔なじみのナースに

            ひょいとシャツの裾なんかめくって

            「その節はどうも」

            と手術痕をみせるや

            「あら、いい感じ。

             その後調子はいかが?」

            なんてナースのひと言も笑顔も

            プロフェッショナルにしてあったかい。

             

            まったくただそれだけの1シーンを

            17音で切り取っただけなのに

            句の中にさまざまな人生が交差し、

            息づいている。

             

            こんな句を読むと

            まったく川柳ってやつは、とまたも感じ入る。


            (「柳都」833号 /柳都川柳社 2018年5月)


            今日の一句 #332

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              次の世もつづく逆上がりの稽古  標尭刺

               

               

              いやはや、逆上がりである。

              実際、私も苦労した。

              できなかったらトラウマになっていたかも。

              だからこそ

              できたときは格別の達成感と安堵で。

               

              掲句、じっと眺めてみる。

              延々と苦行を強いられているのか、

              はたまた、できるまでは次の世までもやるぞっていう

              前向きな執念なのか。

              しかしなんともユーモアに味がある。

              さて、あなたにとっての「逆上がり」とは。

               

              今日の一句は、新刊の標尭刺弑臀犬ら。

               

               鞄横抱きにして青春よさらば

               恋をしているから雨の運動場

               鳥籠の中のわが掌の大きさよ

               電柱を抜いて帰ろうかと思う


              (川柳作家ベストセレクション「標尭刺廖,Δ弔しく強く地球を蹴る遊び」

               /新葉館出版 2018年)


              今日の一句 #331

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                昼の酒生きてることが祭りです  小島蘭幸

                 

                 

                GWも後半に突入。

                昼の酒、楽しんでいらっしゃいますか。

                 

                もっとも定年後なら平日の昼だって

                好きに祭りにできたりで

                本作、そこを自虐めかした句かも。

                先日、とある句会でご紹介したら

                下戸の方も大笑いで膝バーンでした。

                 

                生きてることが祭り。

                そして生きてりゃまるもうけ。


                (小島蘭幸川柳句集『再会供/川柳塔社)

                 

                ********************

                 

                お知らせです♪

                リビングカルチャー倶楽部・神戸教室で

                川柳の1日講座を開催します。

                川柳は初めての方もお気軽にどうぞ。

                新しいことばの世界にワクワクしましょう。

                 

                ◆「レッツ川柳〜こころを詠む575」

                 2018年6月13日(水)10:00〜12:00

                https://living-cul.com/course/a011000000zPK3fAAG/

                 


                今日の一句 #330

                0

                   

                  少年の一人は川を読んでいる  八上桐子

                   

                   

                  「少年の一人は」。

                  つまり少年は複数いる。

                  うち一人に

                  ふっと目をとめた主人公。

                  その主人公を見つめる私という読み手。

                   

                  それぞれ互いに言葉をかわすことも、

                  近づくこともない。

                  しかしこの川べりで

                  今、この川風に吹かれている。

                  ごく日常の一期一会が

                  水面のようにきらめく。

                   

                  本作は、作者の第一句集より引く。

                  静謐のなかに揺らぐトーンが美しい。

                   

                   降りてゆく水の匂いになってゆく

                   その手がしなかったかもしれないこと

                   木の匙のあいされなれているように

                   えんぴつを離す 舟がきましたね

                   


                  (句集『hibi』  八上桐子/港の人 2018年)


                  今日の一句 #329

                  0

                     

                    やさしくはしないで仮病なんだから  山本知佳子

                     

                     

                    新年度が始まって半月余り。

                    新入生や新入社員じゃなくたって

                    なにがしか高揚感のある日々だ。

                     

                    はじめよう。

                    もっとがんばろう。

                     

                    ところがその「もっと」が

                    四月病なんてのを引き起こすことがあるらしい。

                    すなわち、気持ち前向きにダッシュし過ぎると

                    知らないうちにストレスをため込み、

                    体調にも影響する場合が

                    ・・なんて、あなたにも思いあたるフシありますか。

                     

                    と、こんな句に出会った。

                    ふっと心がゆるむ。

                    凹んでるときはほっといてほしくて

                    けど、さりげないやさしさが

                    やっぱり効く。

                     


                    (「川柳びわこ」第658号/びわこ番傘川柳会 2018年4月)


                    今日の一句 #328

                    0

                       

                      ソロホーマー天の一角稲光  近江砂人

                       

                       

                      連日のSho Time !”

                      政治も社会も暗澹たるニュースが続く中、

                      二刀流・大谷翔平選手の活躍は痛快のひと言!

                       

                      そんな大谷選手に敬意を表して

                      今回はカーンとホームランの一句を。

                      まさにスケールでっかく、

                      いささか劇画チックでもありますが

                      作者は明治生まれの川柳家、近江砂人(1908-1979) 。

                      「番傘」の同人で、創設者・岸本水府没後は

                      同誌主幹、後に会長を務めました。

                       

                      さてもさても。

                      もはや劇画を超えたといわれるスーパーヒーローは

                      異星人疑惑まで持ちあがって

                      一体どこまで進化していくのでしょうか。

                       


                      (「三省堂 現代川柳必携」/田口麦彦編 三省堂)


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