今日の一句 #381

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    お互いに大人になって滝の中  久留島 元

     

     

    先週4月13日、京都は伏見稲荷にて

    「落語で五七五」なるイベントを開催しました。

     

    洋館町家・松井邸(国の有形文化財)にて

    落語を1席ナマで聞いたあと、

    それをネタにみんなで川柳を詠もうという初の試みです。

    はたして川柳人をはじめ

    俳人、詩人、そして短詩はまったくはじめての方々も

    参戦してのにぎやかな集いになりました。

     

    演者は上方落語界のホープで詩人としても注目される

    笑福亭智丸さん。

    その智丸さんが選んでくださった演目は「西行鼓ヶ滝」です。

    かの西行法師が旅先で歌を推敲されてゆく

    興味深い噺は、もうマクラから爆笑につぐ爆笑、

    そして一同の詩心を大いに刺激し、

    おもしろい句がたくさん生まれたのでありました。

     

    掲句はそのひとつです。

    恋愛の果てを思わせる下五が

    滝の上でも下でもなく

    「滝の中」であるところが、はっとスリリング。

    想像が胸の中に余韻を広げていきます。

     

    ほかにもまだまだこんな佳句が。

     

     認知症九官鳥とむつまじく      純子

     人類は麺類と言って聞かぬ滝     智丸

     手拭いでせっせと拭いているお空  由紀子

     花の下天狗の鼻が落ちている     和子

     今はまだうたた寝してる正義感    清美

     

    落語と川柳の相性の良さを新発見した一日。

    すっかり気をよくした主催の我々、

    第2回へ向けてはやくも意気込んでおります。


    今日の一句 #380

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      はくしょんが止まる投函終えたので  鳴海賢治

       

       

      あら、花粉症じゃなかったんだ。

      すとんとポストした途端に

      ぴたりとくしゃみが止まったなんて。

       

      長らくぐずぐず出せなかったのは

      ひょっとして告白のレター?

      あるいは絶縁状?

      はたまた同窓会の返事だったり

      締切間際の投句だったり、ね。

      いずれであっても、わかるわかるな気がします。

      出すべきを出したスッキリ感、ね。

       

      本作、「投函」であるのがポイントでしょう。

      「送信」ですませられないコトだからこそ

      スッキリ感もきっと格別。

       


      (「川柳林檎」第560号/弘前川柳社 2019年3月)


      今日の一句 #379

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        幼なじみ玉子サンドに散るさくら  片山美津子

         

         

        桜の下で玉子サンドを頬張っているふたり。

        ただそれだけの1シーンが

        ああと胸に沁みいる。

         

        カメラが手元にズームインすれば

        玉子サンドの白と黄色、

        ひとひらの薄ピンクがきれい。

         

        久しぶりの再会だろうか。

        花冷えのなかに流れる時間はあたたくて、

        ほんの少しせつなくて

        ふたりはなにを語らっているんだろう。

         


        (「川柳びわこ」第660号/びわこ番傘川柳会 2018年6月)


        今日の一句 #378

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          縄文のビーナスに遇う昼の湯屋   小川敦子

           

           

          なんかもう理屈抜きにいいなあ。

          胸もお腹もお尻もぼんぼんぼん。

          ほとばしる生命感。

          そんじょそこらの美魔女なんか

          まったく目じゃない縄文のビーナスたちが

          昼の湯屋で笑い合っている。

          そんな様子を湯船の片隅から

          遠慮がちにみている作者の様子も

          ユーモラスでいいなあ。

           


          (「現代川柳」第66号/現代川柳 2019年3月)


          今日の一句 #377

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            忘れゆくことができます春の白  田村ひろ子

             

             

            「できます」にはっとする。

            とてもやわらかに、けれどきっぱりとした言い切り。

            こう詠めるまでの歳月を思う。

             

            一体なにを、誰を、忘れゆこうとしているのだろう。

            春の白とはなんの白、どんな白なのだろう。

            想像の中で刻々と色調を変えつつ

            どの白も光をふくんでいる。

             


            (句集『夢のしっぽ』 田村ひろ子/あざみエージェント)

             


            今日の一句 #376

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              日記にはミニスカートを穿かせおく  たひにらこころ

               

               

              まあ、盛ってるわけですね。

              ほんとは膝丈ぐらいだったかもしんない。

              でも久しぶりにひらっと穿いたスカートは充分にチャレンジ。

              だから日記には「ミニスカートで颯爽と春!」なんてね。

              そのミニスカートからのぞく脚もまぶしく

              新しい季節へ歩き出そうとしているみたい。

               


              (川柳作家全集『たにひらこころ』 /新葉館出版)


              今日の一句 #375

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                少しだけ昭和の話いいですか  泉 柳歩

                 

                 

                どうぞどうぞ、遠慮なさらずに。

                いやむしろ、ゆっくり聞かせていただきたいです。

                なんなら子どもたちも一緒に。

                 

                新しい年号になったら

                昭和はもっと遠くなるんでしょうか。

                ケータイやパソコンどころか

                家に電話もテレビもなかった時代なんて

                昭和生まれの自分ですら

                おとぎ話の頃のことのよう。

                 

                でもちゃんと

                語り継いでいかなければいけないことがありますね。

                これからもずっと平和であるために。

                 


                (「柳都」2019年3月号/柳都川柳社)


                今日の一句 #374

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                  三男がこっそり触るお雛様  富田房成

                   

                   

                  「三男」が利いている。

                  少なくともこの家には男の子が3人。

                  そして女の子もいて、

                  さてお雛様はお姉ちゃんの、それとも妹のかな。

                  きっと七段飾りの立派なものだろう。

                   

                  男の子がおそるおそる

                  こっそり触る様子が微笑ましい。

                  それをまたこっそり見ている作者の眼差しもやわらかく、

                  障子の光、春畳の感触など

                  どこか遠く懐かしい記憶につながっていく。

                   


                  (アンソロジー『輪舞の森』/川柳大学 2005年)

                   


                  今日の一句 #373

                  0

                     

                    アメリカはまだ刀狩りしていない  中川喜代子

                     

                     

                    言われてみればそうでした。

                    刀狩もせぬまま、一般ピープルが銃を持ち、

                    核兵器も一体いくつ保有しているのやら。

                    それでも、某国の首相がトランプ大統領を

                    ノーベル平和賞に推したとかなんとかのニュースが

                    今週、世の耳目を集めました。

                     

                    ともあれ本作、刀狩とは見つけられたり。

                    ユーモアをたたえながら痛烈な皮肉、利いてます。


                    (「川柳ねじまき #5」ねじまき句会 2019年1月)

                     

                    **********************

                     

                    お知らせです♪

                    4月にこんなイベントを開催します。

                     

                     

                    落語で五七五

                     2019年4月13日(土)午後2時開演(午後1時30分開場)

                     

                    落語を聞いて、一句詠んでみませんか。
                    落語と川柳が魅惑のコラボ!
                    さらに会場は京都伏見稲荷の洋館町家(国の有形文化財)、と

                    おもしろたっぷりのイベントです。
                    落語の演者は上方落語界のホープにして

                    「詩人でもある文芸派噺家」の笑福亭智丸さん。
                    <1部>ではまず智丸さんの一席の後、全員参加で句会を楽しみます。

                    句会進行は芳賀博子が担当、川柳は初めての方も大歓迎です。
                    <2部>は智丸さんにも加わっていただいて、

                    軽く一杯やりながらの懇親会。
                    こちらにもふるってご参加ください。

                     

                    ●会場 洋館町家(松井家住宅)
                         〒612-0808 京都市伏見区深草稲荷榎木橋町9
                         ☎075-641-1153
                         https://youkanmachiya.jimdo.com
                    ●<1部>落語会&句会 午後2時〜4時 
                     <2部>懇親会    午後4時〜6時
                    ●料金 <1部> 2,500円(1ソフトドリンク付)
                        <2部> 2,000円

                    ●定員 20名


                    ご予約、お問合わせは「落語で五七五」事務局まで
                    kiratto575@gmail.com
                    ※ご予約の際には懇親会参加の有無も明記ください。


                    今日の一句 #372

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                      猫踏んじゃったバレンタインのチョコ  大野風太郎

                       

                       

                      ナハハ。

                      猫が踏んじゃったかー。

                      今年もらった、たったひとつのチョコだったのにね。

                      でも猫は確信犯かもよ。

                      「こんな義理チョコにやにさがってる場合かよ。

                       ちゃんとした恋をしろよ」

                      なんてね。

                       


                      (『三省堂現代川柳必携』田口麦彦編/三省堂)


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