今日の一句 #320

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    如月のはたらく空とはたらく木   なかはられいこ

     

     

    清々しい。

    声に出して読むといっそう、だ。

    如月の「き」に始まり

    「はたらく」の「は」と「く」で

    ぱっと口を開いたりすぼめたり。

    それをテンポよく2度繰り返して

    最後に再び「き」っ、と口を横一文字に引っ張る。

    と、木は気にもつながって

    ぽんとやる気スイッチが入った気分。

     

    本作、なかはられいこさんが発行人を務める

    「川柳ねじまき」最新号から引く。

    15の個性が結集した1冊。

     

     あとがきを長めに書いてぜんぶ消す   二村典子

     煙しか出ないドラゴンのあくび    猫田千恵子

     箸立てにあけっぴろげな南風      早川柚香

     昔から浅丘ルリ子三つ上        丸山 進

     しっかりと善意の底は閉じておく    三好光明

     あ、と声立ててあっけなくわたし    八上桐子

     入り口のことしか書いてない童話   米山明日歌

     鶏頭のぼんやり待っている空き家    青砥和子

     戦いはスターウォーズへと続く     安藤なみ

     焼香の順にならんでそれっきり     魚澄秋来

     列島は脇の下までサクラさく      犬山高木

     分身の蝙蝠の低空飛行         妹尾 凛

     縄文の顔でたずねてくる長姉     中川喜代子

     その場所が空いたはずだが 半夏雨  瀧村小奈生


    (「川柳ねじまき #4」 ねじまき句会  2018年)

     

    *************************

     

    お知らせです♪

    NHKカルチャー西宮ガーデンズ教室(兵庫)にて

    4月から川柳講座を新開講します。

     

    「キラッと川柳 〜こころを詠む〜」

     毎月第4火曜 10:30〜12:30 

    https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1138606.html

     

    鑑賞と実作の2本立てで川柳をたっぷり楽しみます。

    初心の方もお気軽にどうぞ。

     


    今日の一句 #319

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      朝ドラに心弾んでゴミを出す  神野きっこ

       

       

      タハハ。

      ザ・小市民なご同輩。

      こちらはBSの朝7時30分からの放送を見てから

      ゴミ出しするパターンです。

       

      現在の「わろてんか」もぼちぼち終盤にさしかかり

      あー、半年早いなあと思っていたら

      もう次の次の朝ドラのキャスティングが発表されましたね。

      日清の創業者・安藤百福夫妻を

      安藤サクラ&長谷川博己のご両人で。

      これは期待できる、って

      はやくも心弾みましたよ。

      あ、明日はゴミの日だ。

       


      (「触光」第56号/2018年2月 触光川柳舎)

       


      今日の一句 #318

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        たこ焼きは熱い熱いと巫女の言う  樋口由紀子

         

         

        巫女は学生アルバイトさんか。

        休憩にさしいれてもらったたこ焼きを

        はふはふきゃっきゃと頬張って。

        そんな楽屋裏のひとコマが浮かんだ。

        ぷん。

        ソースの湯気がこちらまで漂ってきて

        鼻孔がくすぐったい。

        と、なぜか見てはいけないものを

        見てしまった気になった。

         

        掲句は今年1月に創刊された川柳誌「晴(はれ)」より引く。

        編集発行人は樋口由紀子さん。

         

         方舟に薄く聴こえる佐渡おけさ    きゅういち

         散る時も力を貸してくれますね    松永千秋

         殺された場所へ戻っている鸚鵡    月波与生

         増えている発表会の馬の足      広瀬ちえみ

         禁じ手がはじけ散ってる民主主義   水本石華

         どのパンを咥えて現われ出てくるか  樋口由紀子

         

        後記には

        『〜メンバーはおのおの見ているものも、

         見ている方向も同じではない。

         そこから「晴」のカラーが作り出せたらと思っている。』

         

        メンバーそれぞれの20句と評論&エッセイが掲載された第1号

        そのひとつひとつが「川柳ってなんだろう」と問いかけてくる。

         


        (「晴」第1号/2018年1月)


        今日の一句 #317

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          バブル期の写真大きな口開けて   石川街子

           

           

          一昨年あたりから

          バブル期をネタにしたお笑いやダンスがブームになり、

          予想外に引っ張っている。

          世代によって懐かしかったり新鮮だったり、

          とウケ続ける理由はわかる。

           

          けれど当時の映像や音楽が流れるたびに

          個人的には懐かしいというより

          ちょっと脱力感。

          なーんも考えずにバカ騒ぎの波にのまれてた

          あの頃の時間とカネを返してくれ、

          とあの頃の自分に言いたい。

          ほんにまあショッキングピンクのボディコンスーツなんて

          よく着てたもんだわさ。

          とうに捨てたけど。

           

          というわけで掲句の写真に

          私もしっかり写っているのであります。

          みんなに負けじと大口開けて。

           


          (「現代川柳」第59号/2018年1月 現代川柳研究会)


          今日の一句 #316

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            五輪まであと千日のアルバイト  横村華乱

             

             

            平昌五輪まであと2週間。

            そして次は言わずもがなの東京だ。

            なんたって国を挙げての一大プロジェクトであるから

            世はいよいよ東京五輪一色になっていくのだろう。

             

            そんな流れに投じられた危機感の一句だ。

            「国民一丸となって盛りあげよう」と

            たくさんの花火が打ち上げられてゆく。

            イケイケどんどんの祭りの喧噪に

            しかし、社会のひずみや軋みが

            かき消されてしまわないように。

             


            (「川柳人」2018年1月号/川柳人社)

             


            今日の一句 #315

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              飲んでほし やめても欲しい酒をつぎ  麻生葭乃

               

               

              前回の麻生路郎に続き、

              今回は妻、麻生葭乃(1893-1981)の代表句です。

               

              川柳六大家の一人であり

              酒豪でも知られる路郎への

              まさにこれは実感句ですね。

               

              路郎は1881年(明治21)尾道市に生まれ、

              1924年(大正13)に川柳雑誌社(現・川柳塔社)を設立。

              葭乃は四男五男を育てながら、川柳を詠み、

              路郎とともに川柳の普及に尽力しました。

              と書いてしまえばたった数行ですが

              もうどれだけ目のまわる忙しさだったでしょう。

              二人はこんな句も詠んでいます。

               

                俺に似よ俺に似るなと子を思ひ     路郎

                児を寢かしてからの天下を寝てしまい  葭乃

               

              時代に褪せぬ親心とユーモア。

              川柳のスタンダードナンバーといえる作品が

              それぞれにたくさんあります。

               


              (「川柳研究資料ノート」現代川柳研究会)


              今日の一句 #314

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                酒とろりとろり 大空のこころかも  麻生路郎

                 

                 

                あけましておめでとうございます。

                本年もよろしくお願いいたします。

                 

                お正月はおいしいお酒を楽しまれたでしょうか。

                え、酒浸りだった?

                あらご同輩です(笑)。

                ってそうイケるくちでもないんですが

                なんだかんだと注いで注がれての三が日。

                さしずめ掲句の気分といいますか、ね。

                 

                というわけで当ブログ、

                下戸の方をもほろりと酔わせる

                麻生路郎の名句から新年のスタート。

                大空のこころで、

                みなさまのご健康とご健吟、

                そして世界の平和を祈念です。

                 


                (「麻生路郎読本」川柳塔社)

                 


                今日の一句 #313

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                  書き足して私を逃がすあみだくじ  青砥和子

                   

                   

                  この手があったか。

                  たった1本の線で運命は変わる、変えられる。

                  最後の最後まであきらめてはいけないのだ。

                   

                  1本の線は1本の道となり

                  どこへ抜けるかわからない。

                  でも決めたら進むしかない。

                  あみだくじに後戻りはないもの。

                  けど、どこへ抜けたっていいよね。

                  まずは自由、だ。


                  (「おもしろ川柳会」合同句集第11号 2017年)

                   

                  *********************

                   

                  今年も1年、ご訪問くださった方、

                  そして作品をご紹介させていただいた作者のみなさま、

                  ありがとうございました。

                  どうぞ佳いお年をお迎えください。

                  来年も引き続きよろしくお願いします。

                   


                  今日の一句 #312

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                    年の差はいいがパスワードが違う  中嶋ひろむ

                     

                     

                    そう、モンダイは年の差じゃない。

                    もっとそれ以前の

                    単純にして決定的な何かが違うから

                    キミにアクセスできないのだ。

                     

                    でもこのパスワードは

                    あのときキミが教えてくれたもの。

                    ってことは、こっちの記憶違い?

                    それともパスワード変えた?

                     

                    ・・なんて、

                    若い「キミ」に振り回される男の恋の句、と読みました。

                    あきらめきれずに入力を繰り返す主人公。

                    せつなくてほろ苦いけど

                    だから恋で、

                    キラランとうらやましくもある

                    クリスマスシーズン。

                     


                    (「川柳びわこ」2017年12月/びわこ番傘川柳会)

                     


                    今日の一句 #311

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                      巻き添えにならずに猫は塀の上  古谷恭一

                       

                       

                      セーフ。

                      さすがの身のこなしで難を逃れた猫である。

                      「巻き添え」とは何事なるや、と気になるも

                      飄然とした様子をみると

                      まあ、大した事件でもなかったようだ。

                      猫の頭上に吹き出しなんぞつけて

                      ちょっとひと言語らせてみたいところ。

                       

                      それにしても。

                      猫と塀しか出てこないのに

                      界隈のたたずまいや

                      長年住んでいる人たちの暮らしぶりまで

                      浮かんでくるようでおもしろい。

                      懐かしく、親しみのある町だ。

                       


                      (「現代川柳 新思潮」2017年11月)


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