稽古屋の猫は扇子でたたかれる 若柳潮花
ニャ〜ゴ。
先日、ある川柳大会で「猫」の選者を務めて以来、
つい猫の句に目がとまってしまう。
今日は橘高薫風の『なにわ川柳 この一句』から引いた。
本書、以前にもちょっとご紹介したが、
名吟家にしてまこと目利きの薫風さんが
近現代の川柳から秀句を選りすぐり、鑑賞を加えたアンソロジー。
初版は1983年(昭和53)で、1999年(平成11)に再版されている。
せっかくなので、薫風さんの鑑賞もまるごと引かせていただこう。
踊りのお師匠はんの愛猫である。
座布団の上で無精をきめこんでいたら、
お稽古人に追われる羽目となる。
舞扇でやられることもあろう。
軽い調子の穿ちが利いて、踊りとは限らぬものの、
稽古場の華やいだ雰囲気が伺えておもしろい。
まさに。
(『なにわ川柳 この一句』」橘高薫風 1983年)